マンドリン資料館


●マンドリン曲の資料室 

(以下のマンドリンオリジナル曲の解説はとこまんの演奏会パンフレットに載せたものです)

古戦場の秋
小池正夫

昭和13年に作曲され、小池正夫氏の名作として数多く演奏されています。当時、世は挙げて軍国調に色取られ、作者は大陸の戦野にはせる勇士の上に思いを没し、翻って遠く古戦盛衰の跡をしのび衰愁を描かんとしたものであります。花のかんばせ緋縅の鎧、天晴れ若武者の出陣の思わせると同時にその蔭にひそむ無限の衰感をそそって幽艶であります

序曲「魅惑島」 J.コック 作者コックはオランダ人ではなはだ多作家です。この序曲は「近代調」(Moderne Klanken) と共に斯界によく愛奏されています。中間部のマンドラとギターは特に美しくまた印 象的であります。
海の組曲 
A.アマディ

第一楽章 ナイアーデのセレナード/ 静寂な夜の海、水の精ナイアーデは月の光を反映する神秘の水面を静かに駈けまわっている。
第二楽章/オンディーヌの踊り夜の海辺の岩々に寄せてはくだける波。波上にたわむれる波の精オンディーヌの踊りは魅惑と夢幻に満ちている。
第三楽章/シシリー島の海に住みつつ、その美しき声をもって人々を惑わせる半人半魚の女神シレーネ。シレーネは静寂の海に唄い人々はせまりくる海の危険をも知らず安らかに眠っている。
第四楽章/トリトーネのフーガ波は夜の静寂を破り、突如として逆巻き荒れ狂い半人半魚の男神トリトーネは貝笛を吹き鳴らし怒涛を鎮めつつ馳せまわっている。

小公女
Pハーディ

力強い導入部に続き美しいカンタービレが現れ、小公女のけがれなさを描きます。やがて、軽やかなマンドリンのスタカートによって、小公女があどけなく遊ぶ様がよくあらわされ、堂々たるグランディオーソにより曲は終わります。

マンドリンの群れC.A.ブラッコ

この曲は、そのオーケストレーションの妙と効果的な楽器の扱い方で「マンドリン・オーケストラ史上新時代を開拓した」とされています。力強くかつ軽快な第一楽章のアレグロ、ゆったりと歌い上げる第二楽章アダージョ、そして第三楽章で再びアレグロとなり豪快なフォルテシモで曲が終わります
スペインの印象
E.ブーシェロン
この曲は、フランス生まれの作曲家、ブーシェロンが情熱の国スペイン滞在中の印象を表した描写音楽です。4つのが楽章で構成され、第一楽章はゆったりとした「行列」第二楽章は美しい「セレナード」第三楽章はハバネラのリズムで「オレンジの木の下で」、そして第四楽章は、激しいリズムの舞踊「ボレロ」です。いずれもスペインの風景画生き生きと描き出され、民族色豊かな作品となっています

黎明序曲
鈴木静一

この曲は「山の印象」「人魚」についで第3番目に発表されたもので、大正15年10月東京プレクトラム・ソサエティ第8回演奏会で初演された。本曲は作者が作曲専門の道を進む決意に踏み切った心境を表徴し、また当時邦人によるマンドリン音楽作曲運動の高まりゆく情勢を祝福する意味を含め、ソナタ形式による本格的作品に着手し、黎明なる題名を附したものであります


ラヴィトラーノ

この曲は1910年ミラノの「イル・プレットロ」主催で行われた第2回国際作曲コンクールの受賞作で副題に四重奏のためのロマンツァとボレロ“とされたもの。ラヴィトラーノの代表作の中でも特に個性的で強烈なリズムとロマンツァとの対比の素晴らしさは言い尽くせないほどであり、特にはじめの部分は聴く人の心に印象深く残ることでしょう。

レナータ
ラヴィトラーノ

この曲はアルジェリアの明るい南国の情緒を感じさせる曲で、たたみこむような生き生きとしたアレグロに始まり、やがてロマンスで甘く悲しい旋律が繰り返されます。後半部再び早いテンポに戻り、曲を盛り上げ、力強くエネルギッシュな演奏をもって終わります。

ミリタリア
M.マチョッキ

「ミリタリア」とはムールストの木が茂り花咲く国という意味で、マチョッキの作品の中で「ミレーナ」と並ぶ旋律の美しいロマンチックな代表作として親しまれています。この曲は、マンドラの低い静かなトレモロに始まりアレグロの軽快な部分、壮大な終曲に至るまで変化にとんだ美しい曲です。

幸福の星
G.フレンド

マンドリン曲としては山嶽詩に並び称されるもので、1912年に作曲されたものです。人々が幸福を求め見つめる夜空の清らかな星を、非情な黒雲は容赦なく消していく。しかし、やがてこの夜空に又幸福をもたらす星が輝き始めるという情景をあらわしています。

オラッチオ兄弟とクリアッチオ兄弟D.チマローザ ローマ帝国と隣国アルバとは長期にわたり争ってきたが、長年の戦争に結末をつけるため、ローマはオラッチオ3兄弟、アルバはクリアッチオ3兄弟を代表として戦うこととなった。壮烈な死闘の末、1人生き残ったオラッチオの勝利となった。しかしオラッチオの妹はクリアッチオ兄弟の1人と相愛の仲であったため凱旋してきた兄を恨みローマを呪った。敵のために嘆きローマを呪う妹に怒った兄は、クリアッチオを倒した剣で妹を刺してローマへの忠誠を誓う
序曲
「劇場支配人」
モーツァルト

歌劇「劇場支配人」は、2部からなっています。戯曲的な第1部は、その時代の劇場についての風刺にあふれ、第2部では、新作歌劇の主役の座を競う2人のプリマドンナのために劇場支配人が悩まされます。現在は第2部しか上演されなくなってしまいました。 この曲はこうした劇の序曲としては奇異に感じられるほど規模が大きく、また厳格なソナタ形式に基づいています。

序曲「バクダットの太守」 
ボイエルヂュー

この曲はソナタ形式で構成され、序奏部では夜明けの情景を歌い上げ、展開部に入るにしたがって躍動的な狩りの場面へと移っていきます。

ロマンツァとボレロ
「雪」 
G.Lavitrano
作曲者ラヴィトラーノは19世紀後半イタリアのイキアス島に生まれ、永年アルジェリアの地中海に沿ったボーナ市で過ごしました。 この曲は、1910年ミラノの「イル・プレットロ」主催の作曲コンクールで1位に入賞した作品で、「Lola」「Renata」とともに3大傑作のひとつとされています。「雪」は副題でありますが、作者は雪を見たことがないと推測され、まだ見ぬ雪への憧れかもしれません。
山の印象
鈴木 静一

第一楽章(夜明け)山はまだ眠っていた。暗黒から薄明への微妙な光りの変化が起こる。神秘な山のめざめ。やがて日の出の時が近づく。谷を埋めていた霧の動揺が始まり、そして東の空が光を増し、恵まれた晴天の朝の陽が輝きでる。
第二楽章(山行く歌)緩やかに連なる尾根を若人の群れが辿ってくる。爽快な山歩きは明るい歌声となり、山のこだまがはしゃぐ。若い足は尾根から尾根へと伝い遠ざかって行く。
第三楽章(高原の午後)山の牧場の真昼。すがすがしい郭公の声。草原に寝転び見上げる大空。木々の青葉、そよ風が心地よい高原の真昼。第四楽章(麓をさして)登りに比べ下りは快適に足が弾む。刈草を積み鈴の音も軽く下ってくる。爽快なそれでいて哀愁を感じる下山の情景

月ありき
U.Marutino

原題の意味は青く白い月、または白く輝く月。甘美な旋律を持つこの曲は1908年の作品で、特に中間部の長調の旋律は澄明な美しさが表現されています。

ロマン的協奏曲
K.Wolki

作曲者ヴェルキは1904年生まれのドイツの作曲家です。ヴェルキはマンドリン合奏の世界にオーケストラ的な管楽器、打楽器を交えた大編成を取り入れ、ドラマチックで迫力ある重厚な作風で有名です。この曲も壮大で骨太な構成を持ち、かつ細やかで変化に富み、ロマン的な香りがちりばめられた佳曲です


 
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